外科系医師の実力を判断する方法
外科系医師の実力を判断する主な基準は、一般的に手術件数や学会活動(論文、発表の数)と思います。手術件数は病院ホームページを閲覧することで把握することが出来ます。また学会活動は英語論文であればPubMed、日本語論文であれば医中誌のサイトで名前を検索すると当該医師の学会活動歴が分かります。ただ上記2つの基準だけで臨床医としての実力(診断能力、手術の上手さ)を判断することは正直難しいと思います。
わたしは今までの経験から、上記以外にもう1つ臨床医としての実力(診断能力、手術の上手さ)を測る基準があると考えています。それはどのような病院で研修を受けてきたかという点です。
“鉄は熱いうちに打て”ということわざがありますが、それは医師にも通じるものがあります。医師の場合は、各診療科(整形外科など)の研修が始まる後期研修(医師3年目)からの5年間はスポンジのように柔軟に知識・技術を吸収出来る時期であり、その時期に多くの経験を重ねることが重要です。
特に整形外科の場合は、最初は外傷(骨折・脱臼など)への対応{診察→診断→治療(保存療法・手術療法)}が中心の研修となり、その中で整形外科医としての多くの基本を学びます。例えば手術療法では、全身の解剖、使用する道具の種類・使い方、整復の仕方、個々の患者さんの特性への対応などです。
そこで整形外科医としての基礎を築き、その後各々の専門(肩、膝、スポーツ、脊椎、肘、手の外科、股関節、足、小児、腫瘍)へと進んでいくことになります。
つまり整形外科の基本となる外傷(骨折・脱臼)を若手の間に多く経験していないと整形外科医としての基礎が十分に築けなくなり、知識・技術ともに習得出来ずに医師年数を重ねることになります。そのため若手の間に外傷(骨折・脱臼など)を多く経験できる病院(救急搬送の多い病院)に数年間勤務していたかを見ることは、臨床医としての実力(診断能力、手術の上手さ)を測る基準となります。
また外傷(骨折・脱臼など)の多い病院(救急搬送の多い病院)は一般的に忙しい割に給与は高くないことが多く、そのような病院に長く勤務しているまたは勤務していた医師は熱意のある方が多いです。医師の選択における一つの参考にしていただけると良いかと思います。
ただ一番大事なのは実際に会った時の印象かなとは思っています。